これでいいのか千葉県船橋市
地域批評シリーズ
首都圏への人口集中が止まらない中、船橋市はその人気を不動のものとしつつある。
首都圏への人口集中が止まらない中、船橋市はその人気を不動のものとしつつある。 2017年には、大手不動産サイトの「買って住みたい街ランキング」で堂々の1位を記録。その後も人口は増え続け、この10年で約3万人の増加を記録し、2020年には64万人を突破した。 この人気は、よく考えれば当然のことだ。こうした「人気の街」は長らく都心部や東京南部、西部地区に集中していたが、これらの土地は価格が高い。それに比べ、船橋市は都心までの乗車時間が20分を切るのに激安。出勤の利便性が変わらないならば、安い方が当然人気になるだろう。それだけではない。こうした人気の高まりに前後して、船橋市の住環境は飛躍的にそのレベルを向上させている。 特に目立つのは買い物環境だ。少し前までは「ららぽーとがある郊外の買い物拠点」レベルだったかもしれないが、今や船橋駅周辺を中心に、多くの商業施設が集まり、船橋市民のみならず、周辺から多くの人が日常的に集まる街となっている。だが、そんな船橋市にも弱点がないわけではない。都心までのアクセスがいいとはいうけれど、本当にそうなのか。買い物をする場所は豊富でも、本当に市民が欲しいものが揃っているのか。 子育て環境がいいと聞くけれど、実際に船橋市で子育てをしている人は本当にそう思っているのか。もしかしたら、実態は違うのではないか。実際、長らく船橋市の弱点であった交通渋滞は、解消に向かうどころか人気の高まりと人口増加によってさらに激しくなっている。ほとんどの道が狭く曲がりくねっているのは相変わらず。休日にららぽーとでいくと、駐車場に車を停めるのに1時間、車を出すのに2時間なんて話もある。坂道も多いし、住んでみないとわからない弱点は山ほど存在するのだ。急速な人気の上昇で、問題点から目をそらし、ただただ調子に乗っているだけなのかもしれない。本書は、船橋市の真の姿を探るべく、長期の現地取材と多くの資料分析を行った。そこからみえてくるものとは? 是非一緒に確認してもらいたい。