日本の特別地域 特別編集77 これでいいのか和歌山県
日本の特別地域
魔物が和歌山を分断する! ? 近畿のオマケは再開発で復活できやんの?
和歌山県とは、いかなるイメージで語られる県なのだろうか。 一般的な感覚としては、「みかん」であり「梅干し」が挙げられた上で 「関西のイナカ」「近畿のオマケ」だと言われている。 少し好意的にいくと、「吉宗」をはじめ、「江戸時代をリードした紀州藩」となり、 歴史好きの界隈では「鉄砲隊」「高野山」「熊野水軍」あたりになる。 このように、和歌山県は「イナカ」と「歴史」が主にイメージされる県だ。 確かにそれは実際の姿の、少なくとも一部であることは間違いない。 事実、和歌山県はこのイナカで古くさいイメージを補完するように、 全体としてあまり良い状態にあるとは言いがたい。 というのも、近畿7府県の中で唯一人口が減少している県であり、経済的にも衰退が著しい。 県内各地から、県の中心である和歌山市に人口が集中し、その和歌山市からも より便利で「仕事のある」大阪府各地へ流出するという「2重のストロー現象」が起きている。 しかし、高野山、熊野三山に白浜などの観光資源の活用、 県北部のベッドタウンにおける人口の増加など、上手くいっているといわれる事例も多い。 結局、和歌山県の真の姿と現状は今も謎に包まれている。 それは、古来よりこの国の中心であった近畿地方に属しながら、 深い山脈で隔てられ「謎多き別の世界」であり続けた紀州の歴史がまだ続いているかのようだ。 本書は、この謎に満ち、ともすれば住民ですら把握できていない和歌山県の真の姿を探った一冊である。 そのために、我々は長期にわたる現地取材と、多くの資料分析を行った。 そこから導き出された回答はいかなるものなのか。 ぜひともに、和歌山の謎を解き明かすたびにご同道願いたい。