日本の特別地域 特別編集76 これでいいのか神奈川県
日本の特別地域
人種でわかった県内対立の構図
神奈川県は、バブル崩壊以降、 どうにも威勢のあがらない日本の中で、 ほとんどただひとり「勝っている」県だ。 県内各地で再開発がものすごい勢いで進み、人口は急増。 鉄道網を中心に交通インフラが次々と整備され、 ニュータウンがあちらこちらに造られている。 なぜ神奈川県だけ、こんなに勢いがあるのか。 もちろん、元からポテンシャルは高かった。 平安時代の後半から、東日本の実質的な「首都」は ほとんどすべて神奈川にあったし、横浜開港以来の隆盛は誰もが知るところだ。 しかし、今の神奈川県は、発展しているとはいっても、 本当に「いい街」になっているのだろうか。住みやすくなっているのだろうか。 多くの人口を抱え、歴史も古く、産業が発展している神奈川県だが、 どうにも最近の「発展」には、「イヤな感じ」もつきまとっている。 今、神奈川県の発展を支えているのは、大企業による画一的なまちづくりだ。 経済活動である以上、取捨選択が発生する。 その結果、絶好調の神奈川県内にも、発展している街と見捨てられた街の格差がある。 発展を遂げている街でも、元々あった文化が忘れ去られ、 どこにでもありそうな、無個性の街になってしまったところがある。 結果、神奈川県には「流行に流された画一的なイヤな街」と「発展に見捨てられたダメな街」ができてしまっている。 果たして、今の神奈川県は、住民にとって「いい発展」をしているのだろうか。 本書の執筆にあたり、我々は神奈川県内を歩き回り、多くの統計データを分析した。 神奈川県と県民の真の姿、その強さと危うさを考えてみたい。