迷宮のナダ 1
GCノベルズ
戦え――ただ生き抜くために。
第12回ネット小説大賞受賞作、ついに発売!
パライゾ王国にある有名な都市――インフェルノ。
インフェルノは、都である『ブルガトリオ』並びに南に存在する『セウ』と共に『迷宮(ダンジョン)』で栄えた都市だ。迷宮に住むモンスターの体内からは、カルヴァオン、と呼ばれる石が産出される。カルヴァオンはパライゾ王国においては重要な資源の一つだ。人々はカルヴァオンを求め、都市はダンジョンと共に、大きな犠牲を伴って発展し続けていた。
その中でもインフェルノには、三つのダンジョンが存在していた。
トーヘ、トロ。そして――ポディエ。
ポディエも他の迷宮と同様に大きな迷宮だ。その利用価値は他の迷宮に優るとも劣らない。だが、ポディエには他の迷宮とは違って、一つの“異質”な点があった。すぐ近くに学園が併設されているのだ。正式名称をラルヴァ冒険者養成学園という冒険者の卵を集めた学園。ポディエは別名『学園迷宮』とも呼ばれ、数々の学生がそのダンジョンに挑戦する。
ラルヴァ学園において、トップの成績を誇るパーティー『アギヤ』。
そんな名誉あるパーティーに在籍するナダは、冒険者必須の技能である神の加護(ギフト)や唯一(ワン・オフ・)技能(アビリティ)が無いという理由でリーダーからパーティーを追い出された。
だからと言って、それから力が覚醒することも、持つだけで最強になれるような武器を手に入れる事も、ましてや運命的な仲間と出会う事もなかった。
己の身体だけを武器にした、一人の落ちこぼれのあがきが静かに幕を開けた。