親愛なるカンパニュール あなたに花を贈る理由
ことのは文庫
優しい花に見守られ、迷子の女子高生と不器用な男子大学院生、お日様のような大学教授が紡いだ「最期の同居生活」とは。
――私はいつも、人を傷つける言葉ばかりが得意だ。
とある出来事をきっかけに、他人と距離を置く孤独な女子高生の桔帆(きほ)は、
バイト先の花屋で「毎月20日、必ず奥さんのために花を買いに来る」お日様のような笑顔を放つ謎の大学教授・東明(しのあき)に出会う。
傷ついている桔帆を優しく包む東明は、夏休みに入った頃、彼女にある提案をもちかける。
「自分がバカンスへ行く間、家の庭の世話をしてほしい」
戸惑いながらも了承した桔帆が、東明の自宅へ向かうと。
「……なんだお前、やっぱストーカーとかだったわけ?」
以前、桔帆が東明に頼まれて大学に花を届けに行ったときに、彼女を東明のストーカー扱いした
「東明の弟子」と呼ばれる不機嫌そうな大学院生・綾瀬(あやせ)がそこで待ち構えていて――。
東明が仕組んだ、行き場のない女子高生と大学院生、そして大学教授の「同居生活」。
三人はいつしか、かけがえのない「友人」となるが、その奇妙であたたかな生活は、ある日突然終わりを迎える――。