キライが好きになる魔法 湘南しあわせコンフィチュール
ことのは文庫
営業の仕事に向かう途中、みのりが雨宿りさせてもらった湘南の「フジミ青果」。そこは「野菜嫌いの店主」がいる不思議なお店で……。
失敗続きの出版社女子と、野菜嫌いの青果店男子。
湘南で彼らが手にしたのは、人生の幸せな味(野菜風味)。
☆ ☆ ☆
社会人二年目、丸印出版の企画営業部(雑誌広告担当)に勤める西富(にしとみ)みのりは、
ノルマに追われる日々を送っていた。
休日の外回り中、雨宿りのために偶然立ち寄った、湘南にある青果店『フジミ青果』で、
みのりは〈野菜嫌い〉の店主・亮二(りょうじ)と出会う。
亮二が店主を務めるフジミ青果は、一見、ごく普通の青果店だが、
実は野菜も果物も売っていない「青果のコンフィチュール専門店」だった。
雨が上がるまで試食をさせてもらったみのりは、そのあまりのおいしさに感動すると同時に、
このお店をぜひ、自分の担当するグルメ雑誌で紹介したいと強く思う。
そんな話を切り出したみのりに、
それまでの優しそうな表情を一変させた亮二は「帰れ!」と一喝するのだが――。
これは、
仕事もうまくいかず、人生切羽詰まってきた女子が、
極上の「野菜コンフィチュール」と、
変わり者の青果店店主との出会いを通して少しずつ成長していく、
ちょっとじれきゅんありの、『人生の幸せな味を見つけ出すまで』の物語。